【フューチャーアーキテクト】フューチャーアーキテクト会長ＣＥＯ・金丸恭文さん　セブン?イレブンに照準　システム共同開発、成功

会計事務所向け情報会社ＴＫＣで業務用パソコンの開発に携わった後、１９８２年に業界で最も革新的な企業と評判だったベンチャーのロジック・システムズ・インターナショナルに転職した。総勢１０人弱の開発チームのリーダーに就任し、営業活動も行った。


　当時は、業務にパソコンを十分に生かす企業は少なく、ワープロ代わりのような単純な利用がほとんどだった。

　パソコンの可能性の高さを確信していたので、それを証明するには世間が驚くような企業と契約し、その企業の業績を上げる必要があると考えた。そこで、先進的なＩＴ（情報技術）の活用に定評があるセブン?イレブン・ジャパンに狙いを定めた。朝から晩まで同本社内のファミリーレストランに陣取り、パソコンを活用したコンビニエンスストアの業務改善の提案書を書いては、担当者に持ち込んだ。店舗にも何度も足を運び、研究を重ねた。そうするうちに徐々に信頼を得ることができ、コンビニに納入するおにぎりの工場に連れて行かれて「業務改善のアイデアを出して」と要請されるようになった。

　営業開始から１年後、同社から店舗の情報分析用のパソコン開発を受注した。

　店舗にパソコンを導入し、販売データをグラフで一覧することで売れ筋商品を分析できるようにするシステムの開発にセブン?イレブンと共同で当たった。ただし、要求された費用は当時の相場の４分の１で、納期もわずか半年。大手がさじを投げたことからチャンスが巡ってきた。

　設計開発や、部品メーカーとの交渉など膨大な業務をこなすため、３時間睡眠の日々が続いた。過労で倒れる部下も出たが、それまでの店舗通いの経験も生き、８５年にシステム開発に成功した。店舗の発注精度が高まるなど飛躍的に業務が改善された。受注を見送った大手を出し抜く形となり、セブン?イレブンも「ロジックとの共同開発」の成果を積極的に外部に発信してくれた。

　８９年、ＩＴシステムのコンサルタント会社、フューチャーシステムコンサルティング（現フューチャーアーキテクト）を創業。年商３４０億円の大手に育て上げた。

　セブン?イレブンの経験から、システムの相談業務はビジネスになると考えた。創業当初は思うように仕事が集まらず資金繰りにも苦労したが、ロジック時代に若い少人数のチームであれだけ大きなことができたことで、怖いものがなくなった。今でも特定のメーカーに頼ることなく独立系を貫き、世界で最も質の高い総合コンサルティングを提供し続けている。

2015年 12月15日
参照毎日新聞